「自殺したい」と考えている人をどう周囲は支えるか
リモートワークが増えたり、外出がしにくくなったり環境の変化が大きいと不安を感じていませんか?
様々な変化があると人にとって、ストレスに繋がりやすくなります。それが一過性のものであれば時間が経てば ストレス要因が軽減されることはあります。ただ、環境が落ち着いてもやる気が起きない、疲れが取れない、憂うつな気分が続くことになると注意が必要です。
コロナでの緊急事態宣言が解除されたものの、感染者増加のニュースや芸能人の自殺などあまり良くない出来事を目にすることが増えています。
自殺意識調査2016によると、「本気で自殺したいと考えたことがある」に対して「ある」と答えた人が、25.4%でした。
4人に1人は、本気で自殺したいと考えたことがあるわけです。
ただ、「自殺したい」と考えたことがあることと、「自殺したい」と行動(以下、自殺行動)することは大きく異なることです。
MSDマニュアルCOVID-19によれば、自殺について以下のように記載されています。
自殺行動につながる要因として最も多くみられるものとして、以下のことを示しています。
(米国での2016年の自殺率)
- 45~54歳が最も高い
- 85歳以上が2番目に高い
どの年齢層でも、自殺する人の数は4:1ほどの比率で男性の方が女性より多くなっています。
その理由は不明ですが、以下の要因が関係していると考えられています。
- 男性が問題を抱えている場合、友人や医療従事者に助けを求める可能性が低い
- 男性では、自殺行動に寄与するとみられるアルコール乱用や薬物乱用が多い
- 男性は自殺を試みる際に、より積極的で致死率の高い方法を用いる
- 男性の自殺者の数には、軍人と退役軍人の自殺が含まれている
自殺したい人は相談するのか
この様なデータがある中で、「自殺したい」と考えている人はどういう思いがあるのかを知っておく必要もあります。
日本財団の調査によると、「本気で死にたいと思っても相談しなかった人は、73.9%」にも及ぶとの結果があります。
1つの事実として、「死にたいと思っても相談する」という考えや行動になりにくいことが分かります。
そう考えると、死にたいと強く思っている瞬間は「誰かに相談する」行動は少ないため、その前段階で本人からのサインに気づく必要があるように考えます。
サインに気づくのは、医師やカウンセラーなどの専門家だけでなく、家族や友人、職場の同僚など普段接している時間が長い身近な人である場合がほとんどではないでしょうか。
対応に困った場合や専門的なことは、専門家に頼る行動は通常のように感じられます。しかし、専門家は四六時中、対応しているわけではないので身近な家族や友人が対応する際に困ることがあると思います。
相談されたらどうしたら良いのか
自殺について相談された場合は、10分程度でも良いので、自殺したいと思った人の話を聴いてあげることが有効です。
「死んではいけない」、「この先、楽しいことがある」等の一般論や「自殺を止めないといけない」と思い喋りすぎてしまうことがあります。
「理解させよう」や「考えを改めさせよう」と意識することは控えて、話を聴く=傾聴に徹してもらうことが重要です。
「自分の気持ちを分かってもらえない」「どうすることも出来ない」と考えている人にとって、自身の考えや思いを話す経験は少ない可能性があります。
こちらの考えを理解させるのではなく、相手の考え・思いを理解するという姿勢になることです。
自殺を予防するために
普段、過ごしている環境がとても重要です。人は、環境の影響を受けやすい生き物です。
多くの調査や研究でも示されていますが、「心理的安全性が高い」環境にしていくことが一番の近道です。
心理的安全性とは、「失敗やネガティブなことを話せる」、「意義を見出せる」、「相互に信頼できる」などを感じられることです。
- 問題や悩みを抱えこまないようにする
- 相談できる相手を増やしておく
- 相談できる環境を見つけておく
- 緩やかな人との繋がりを築いておく
上記の様な環境を提供できる場所や関係を持っていてもらうこと、増やしていくことが大事になります。