どうしたら良い?~メンタルヘルス不調で相談された時の対応~
人から相談されると嬉しいタイプですか?
頼りにされると嬉しいと言われたりしていますが、株式会社オーネットの2020年の調査によると、異性から頼られて嬉しいことは、
「自分が得意なこと」、「軽い相談」、「仕事に関する事」でした。反対に嫌なことは、「お金に関する事」、「力仕事」、「重い相談」でした。
この調査では、独身20歳~34歳の男性(495名)、女性(482名)を対象に行われたもので、関係性が結果に影響を及ぼしていることも考えられますが、「自分の得意なこと」や「軽い相談」など、相談を受ける側が対応できる内容であると、嬉しいと感じやすいことがうかがわれます。
株式会社オーネット「異性に頼られたら嬉しいか」に関する意識調査
https://onet.co.jp/company/release/2020/20201028.html
それでは、相談をする側はどう感じているのでしょうか?
相談をする側の気持ち
2022年に秋田大学防総合研究センターが勤労者約1万人に実施した調査結果を参考に考えたいと思います。
調査内容の1つである「精神的な不調を抱えたときに誰に話したいか」の調査では、家族62.9%、友人63.4%、同僚57%、上司43.1%、医療機関34.5%という結果であった。
家族や友人は相談したい、となっているが、上司や医療機関は3~40%という結果で優先順位は決して高いわけではなさそうです。
秋田大学自殺予防総合研究センターのプレス発表資料
https://www.akita-u.ac.jp/honbu/event/img/mix3475_01_dl.pdf
精神的な不調を抱えた相談者からすると、話したい相手は、家族や友人と感じる人が6割を超えている結果となっているのは、話しやすい身近な相手に分かってほしいという気持ちがあるのかもしれません。
一方で、相談を受ける側の立場からすると、気軽な話なら応じることは可能だが、精神的な不調については応じにくいと感じるのではないでしょうか?
これは、上記の頼られると嫌な事にある「重たい相談」に当てはまります。
つまり、相談したいと思う側のニーズと相談を受ける側の心持ちは異なっていることが日常では多く起こりうることが予想されます。
そのため、身近な存在である家族や友人として相談を受ける側の対応方法がある程度、求められていることがうかがえます。
相談を受ける側の対応方法
相談を受ける側の対応として、まず意識してほしいことは、「傾聴」になります。
相談を受ける側がアドバイスをしたり、問題解決に向けて動きだすわけではなく、相談する側が「何を考えているのか」といった問題の糸口を本人に見つけてもらうことが傾聴の本質になります。
傾聴のポイントとしては、以下のことが挙げられます。
- 聴くに徹する
- 非言語メッセージを意識する
- うなづきや相槌を返す
- 理解したことを伝えて確認する
聴くに徹する
聴くに徹するとは、相談を受けている側の意見や考えを挟み込まないようにすることです。
実はこれが、実践する際に一番難しいことです。話を聴いてもらえていると感じるのは、相談する側になります。相談を受ける側は、相手が安心して話せているかが「話を聴けている」ことの指標になります。
非言語メッセージを意識する
非言語メッセージとは、表情や声色などの言語情報以外の相談する側が受け取れる情報のことを言います。
相談を受けている側から積極的な関心が向けられることで、相談される方は安心して自分の話をすることができるようになります。
積極的な関心が向けられているかどうかは、表情や視線、姿勢、動作、声など、非言語的メッセージによっても伝わっています。
たとえば、腕組みや脚組みなどをしていないか、声のトーンは落ち着いているか等を確認してみると良いでしょう。
うなづきや相槌を返す
傾聴していることを相手に伝える最良の方法は、うなずきやあいづちを返すことです。
自然で落ち着いたテンポやタイミングで、心のこもったうなずきや相槌を返してもらえるだけで、聴いてもらえていると感じやすく、次の言葉が出てきやすくなります。
理解したことを伝えて確認する
まずは口を挟まず最後までしっかり聴いてみます。
そして、話が一段落したところで、「あなたの話を……と理解したけど、合っているかな?」など、話したかったと理解したことを伝えて、確認してみましょう。
話したかったことと一致していれば、わかってもらえたという安堵感につながりますし、ズレていることが確認できた場合はあらためて何を伝えようとしているのか傾聴することで、すれ違ったまま終わることを避けることができます。
話の聴き方ひとつで相談者の安心感は変わっていきます。相談を受けた方の「話の聴き方」、「対応の仕方」で相談した方の心持ちを変えることができます。
家族や友人として相談を受けた場合
運転免許を取得しに行っていた時を思い出してみてください。おそらく、救命講習やAEDの使い方等を学んだ事があると思います。
救急隊が到着するまでの応急処置をしてもらい、専門家につなぐ協力が必要だからです。
これは相談も同じで、深刻な悩みや精神的な不調という病気に繋がっているかもしれません。
病気の治療や対処は、早期発見早期治療が重要です。
早くに発見できていると、対処方法の選択肢が広がりますし、大事には至りにくいです。
家族や友人というのは、身近な相談者として「相談できる関係」が構築されていますので、相談しやすいという特徴があります。
しかし、相談されても困るなぁという内容のこともあるのが事実だと思います。
そのためには、上記で示している相談を受ける側の対応方法をしてもらい「相談できる関係性」を継続してもらうことを意識してください。
それでも、どうしたら良いのか相談を受けた側が悩むのであれば、専門機関にご相談ください。
まとめ
身近な相手から相談を受けることは、決して珍しいことではありません。
かといって、
- 正しいことを言わないといけない
- すぐに解決しないといけない
と考えて行動に起こさなくても大丈夫です。
しっかりと話を聴いて気持ちを受け止めてあげるだけでも相談者は安心した気持ちになります。
まずは、「話を傾聴する」ということに意識していただけることが大切です。
もし、どこに相談したらいいかわからない方へ
もし、ご家族や友人として相談を受け、傾聴をしていても、
「これって本当に大丈夫かな?」
と思われることがあろうかと思います。
そんな時は、有資格者の無料相談も承っておりますので、
1人で抱え込まずに、ご相談ください。