コラム

休職期間中のしんどい時は何をしたら良いの?ー行動リストのご紹介

「どんなことをしたら良いんだろう?」、「何もできていないんです」と相談にこられる休職中の方から出る言葉です。

自宅で療養している=何をしたら良いのか分からい、もしくは何かする気分ではないという方が多数派のようです。

うつ病や適応障害などで休職をしている時期は、

  • 「何をしたら良いかわからない」
  • 「やる気が出ない」
  • 「動きたいけれど身体が重い」

といった状況に直面することが多いのではないでしょうか。

 

 

特に休職初期は、今まで当たり前にできていた日常的な行動すら困難に感じることもあります。

 

そんな時に大切なのは、無理をしすぎず、自分のペースで少しずつできることから始めることです。

 

本日は、メンタルヘルス不調で休職中の方や、ストレスを感じやすい方に向けて、具体的な行動リストをご紹介したいと思います。

 

マネできそうな行動や改良してご自身にあった行動にカスタマイズするなど実践して頂けたら幸いです。

 

行動活性化療法の考え方

 

そもそも、なぜ「行動」が大切なのかというと、うつ病治療において「行動活性化療法」という手法が注目されています。

 

行動活性化療法は、物事のとらえ方である認知も含めて「行動」ととらえて、行動をかえていくことで内面の安定を探っていく治療法で、うつ病に対して高い治療効果があることがわかってきています。

 

うつ状態の時は、気力の減退や疲労感によって活動量が減り、外出も少なくなってしまいがちです。

 

それらの行動は、短期的には気分を緩和させますが、長期的には気分の落ち込みや状況を悪化させる要因になります。

 

そこで、段階的に活動を増やしていくことで、気分の改善を図っていくのが行動活性化のアプローチです。

 

 

休職期間中の行動リスト活用法

休職中は「何もしてはいけない」と思い込んでしまう方もいらっしゃいますが、実際は適度な活動を続けることが回復への近道となります。

 

まずは、療養として休み、その後に活動を増やしていくことが望ましいです。

 

以下にご紹介する行動リストは、自宅でできるもの、外出が必要なもの、お金がかかるものなど、様々な状況に応じて選択できるよう分類されています。

 

日常生活の基盤を整える活動

 

– 顔を洗う、シャワーを浴びる
– 洗濯物を回す、干す、畳む
– 部屋の掃除をする、机の上を整理整頓する
– 自炊してご飯を作る

 

これらは一見当たり前のことに思えますが、メンタル不調の時期には非常に重要な活動です。

 

生活リズムを整え、達成感を得ることができます。

 

「今日はシャワーを浴びることができた」「洗濯物を干すことができた」といった小さな成功体験の積み重ねが、自信の回復につながります。

 

心身をリラックスさせる活動

 

– 歌を歌う、作業用BGMを流す
– YouTubeでストレッチやヨガをする
– お香やアロマを焚く
– ベランダで朝日を浴びる
– 瞑想、マインドフルネスをする

 

これらの活動は、ストレスホルモンを減少させ、リラックス効果をもたらします。

 

特に朝日を浴びることは体内時計を整える効果があり、睡眠の質の改善にもつながります。

 

意外と「リラックス」ということを感じにくい、もしくは意識していない人も多くいます。

 

自分に合うリラックスを積極的に探して試してみましょう。

 

近距離での外出

 

– 家の近くを散歩する
– 自転車でコンビニ、スーパーに行く
– 図書館に行く

 

外出に不安がある場合は、まずは家の周りを5分程度散歩することから始めてみましょう。

 

外の空気を吸い、日光を浴びることで、セロトニンの分泌が促され、気分の改善効果が期待できます。

 

外出は嫌がる人も多くいますが、実は資源が豊富です。

 

家にはないものが多いので、気分転換には適しています。

 

人との接触を含む活動

 

– 猫カフェに行く
– スタバやコメダでコーヒーを飲む
– 実家に連絡する、帰省する

 

人との軽い接触は、孤独感の軽減に効果的です。

 

適度な距離間で、社会とのつながりを感じることができます。

 

また、ゆっくり落ち着ける場所や気兼ねなく行動できる場所があると安心感も感じれます。

 

手を動かす活動

 

– 絵を描く、折り紙で10種類作ってみる
– 編み物で何かを作る
– 100均のプチブロックを作ってみる

 

創作活動は、集中力の向上と達成感の獲得に効果的です。

 

完成した時の喜びは、自己肯定感の向上にもつながります。

 

行動していないと考えが止まらないと訴える人も多くいます。

 

そのため、没頭できることや作業に考えを集中できる時間があることもメリットの一つです。

 

記録をつける活動

 

– 日記をつけてみる
– 今日の良かったことを3つ書く
– 良かったこと+感謝する人を書く

ネガティブな思考に偏りがちな時期だからこそ、意識的にポジティブな出来事に目を向ける練習が重要です。毎日小さなことでも良いことを見つけて記録することで、物事の捉え方が変化していきます。

 

実践のポイント

 

1. 小さく始める

 

「まずは5分だけ」「今日は1つだけ」といったように、ハードルを下げて始めることが大切です。

 

完璧を求めず、できたことに焦点を当てましょう。

 

例えば、「掃除」、「料理」などの枠組みでは、行動へのハードルが高くなってしまいます。

 

それを「机の上の書類を分ける」、「レンジで温める」などの小さい行動に分けて考えると行動がしやすくなります。

 

 2. 自分のペースを大切に

 

体調や気分に合わせて、無理のない範囲で取り組みましょう。

 

調子の悪い日は休息を優先し、調子の良い日に少し活動量を増やすといった柔軟性が重要です。

 

「やらないといけない」という考えになる場合もありますが、できた時は「よくやった」と自分を評価することも自分のペースを保つ上では重要です。

 

3. 記録をつける

 

記録をつけると聞いて「面倒くさいなぁ」と思った方もいると思います。

 

でも、記録をつけて振り返ってみてみないと自分の気分や体調は忘れてしまいやすいものです。

 

どの活動をした時に気分が良くなったか、どんな時に調子が悪くなったかを記録することで、自分に合った活動パターンが見えてきます。

 

まずは、客観的に自分を見てみる事から始めてみましょう。

 

4. 段階的に広げる

 

慣れてきたら、徐々に活動の幅を広げていきましょう。

 

自宅での活動から近所への外出、そして少し遠い場所への外出へと段階的に進めていくことで、自信を積み重ねることができます。

 

注意すべきポイント

 

活動を増やしていく際に注意したいのは、「やりすぎ」です。

 

調子が良い日につい頑張りすぎてしまい、翌日以降に疲労やうつ症状が悪化することがあります。

 

これを「波乗り現象」と呼びますが、一定のペースを保つことが重要です。

 

また、「今日は何もできなかった」と自分を責めることは避けましょう。

 

休息も治療の一環です。

 

できなかった日があっても、「明日はまた新しい日」、「今日はゆっくりすることができた」と考え、自分を許すことが回復への近道となります。

 

 まとめ

 

休職期間は、自分自身を見つめ直し、新たなスタートを切るための準備期間でもあります。

 

今回ご紹介した行動リストを参考に、自分に合った活動を見つけて、少しずつ実践してみてください。

 

大切なのは、完璧を求めることではなく、小さな一歩を積み重ねることです。

 

今日できることを一つでも実行できたら、それは大きな前進です。

 

自分のペースを大切にしながら、回復への道のりを歩んでいきましょう。

 

もし一人では不安に感じる場合は、専門の支援機関やリワーク施設を活用することも選択肢の一つです。

 

適切なサポートを受けながら、段階的に社会復帰への準備を進めていくことで、より安心して歩みを進めることができるでしょう。

 

 


 

休職中の過ごし方や復職に向けた準備について、お一人で悩まれている方は、ぜひ専門家にご相談ください。

 

mentalfitでは、個別の状況に応じたサポートを提供しております。

 

もし、1人で行えるのか自信がない方、長期的に相談する場所や相手が探している方は、お気軽にご相談ください。