コラム

復職前の不安、これって「復職していいサイン」?「まだ早いサイン」?|判断基準を精神保健福祉士が解説

「復職前に不安があるのは普通って聞いたけど、この不安の強さは普通なの?」
「主治医から『そろそろ復職しても』と言われたけど、本当に大丈夫か自信がない…」
「不安があっても復職していいのか、それともまだ休むべきなのか、判断できない」

復職前の不安は誰にでもあるものです。しかし、その不安が 「健全な不安」なのか「危険信号の不安」なのかを見極めることが、復職成功の鍵を握ります。

この記事では、どういった不安が「復職していいサイン」なのか「まだ早いサイン」なのかを判断する具体的な基準をお伝えします。

「不安があるから復職できない」は本当か?

まず、大前提として知っておいてほしいことがあります。

不安ゼロで復職する人はいません

私たちが支援してきた復職者の中で、「不安がまったくない」状態で復職した人は一人もいませんでした。

「また同じことになったらどうしよう」
「迷惑をかけるんじゃないか」
「体力が持つだろうか」

こうした不安をお持ちの方がほとんどですが、この不安はむしろ健全な反応です。

問題は「不安の質」「対処能力」の方で

1、その不安は「現実的な不安」か「過度な不安」か
2、不安があっても、日常生活が送れているか
3、不安に対処する方法を知っているか

これらの判断基準を知ることで、復職のタイミングが見えてきます。ここからはリワークで実際基準としている判断基準をみていきましょう。

【判断基準1】「復職していい不安」vs「危険信号の不安」

以下の表で、あなたの不安がどちらに当てはまるか確認してみましょう。

✅ 復職していい不安(健全な不安)

不安の内容特徴特徴
「職場の人にどう思われるか心配」人間関係への配慮。復職後の調整で対処可能
「仕事についていけるか不安」現実的な懸念。段階的復職で解決可能
「また体調を崩したらどうしよう」再発への警戒心。対処法を知っていればOK
「迷惑をかけないか心配」責任感の表れ。職場と調整すれば問題なし

これらの不安に共通するのは、 「対処可能な不安」 であるという点です。

具体的な対象がある(何が不安なのか明確)
「もし〜だったら」という仮定の不安(実際にはまだ起きていない)
日常生活に支障はない(不安はあっても、朝起きられる、外出できる)
対処法を提示されれば、安心できる

こうした不安は、復職後の調整や段階的復職プランで十分に対処できます。「不安がある = 復職できない」ではありません。

⚠️ まだ早い不安(危険信号の不安)

不安の内容特徴
「職場のことを考えると動悸吐き気がする」身体症状を伴う。トラウマ反応の可能性
絶対に失敗する、もう無理だ」極端な思考。認知の歪みが残っている
「朝起きられない、家から出られない」不安が行動を完全に制限している
「復職日が決まった途端、眠れなくなった」不安が生活機能を障害している

これらの不安に共通するのは「対処が必要な不安」であるという点です。

漠然とした強い恐怖(何が不安なのか説明しにくい)
身体症状を伴う(動悸、吐き気、不眠など)
日常生活に支障が出ている(不安のせいで、起きられない、動けない)
対処法を提示されても、安心できない(「でも…」と不安が消えない)

こうした不安は、まだ心身の回復が十分ではないサインです。まずは主治医に相談し、治療やカウンセリングを優先する必要があります。

【判断基準2】日常生活機能のチェック

不安があっても、以下の項目が「できている」なら、復職可能なサインです。

復職可能なサインのチェックリスト

 生活リズム
 □ 毎朝、決まった時間に起きられる(週5日以上)
 □ 夜、22時〜24時の間に就寝できている
 □ 日中、横になりたいと思うことが減った
 活動レベル
 □ 2時間以上、集中して作業ができる
 □ 週3回以上、外出できている
 □ 通勤時間帯の電車に乗れる 気分・感情
 □ 趣味や好きなことに興味が出てきた
 □ 人と会話することに抵抗がない
 □ 「死にたい」「消えたい」という気持ちがほとんどない
 職場への意識
 □ 職場のことを考えても、気持ちが大きく落ち込まない
 □ 「復職」という言葉に対して、少しでも前向きな気持ちがある

当施設では、以下のような考え方も踏まえて復職準備状況を判断しています。

8項目以上クリア:復職可能な段階に入っている可能性
不安はあっても、日常生活機能が保たれている状態です。この段階であれば、段階的復職プランを立てることで、スムーズな復職が期待できます。
4〜7項目:リハビリ期として、もう少し準備を続ける段階
生活機能は回復しつつありますが、まだ不安定な部分が残っています。焦らず、もう少しリハビリ期間を続けることで、より安定した復職が実現できます。
0〜3項目:休養を優先すべき段階
不安が日常生活を制限している状態です。まずは心身を休めることが最優先です。治療と休養に専念し、焦らず回復を待ちましょう。

⚠️ ただし、このチェックリストだけでは判断しきれない要素があります
実際の復職準備状況は、このチェックリストに加えて、ストレス耐性の回復度、職場環境の要因、主治医の見解なども含めて総合的に判断する必要があります。

【判断基準3】「環境要因」が解決されているか

実は、不安の原因が「自分」ではなく「職場環境」にある場合、自分がどれだけ回復しても、復職後に再び同じ問題に直面します。

チェックすべき環境要因

・休職の原因となった上司・同僚との関係が未解決
・業務量が休職前と変わっていない
・長時間労働や残業が常態化している
・パワハラ・モラハラが放置されている
・人事・産業医との面談が一度もない

自分の回復だけでなく、職場環境の調整も復職成功の必須条件です。

よくある「自己判断の失敗パターン」

ここまで読んで、「自分で判断できそう」と思われたかもしれません。しかし、実際には多くの方が自己判断を誤り、失敗しています。

失敗パターン1: 過小評価(実は復職できるのに先延ばし)

「チェックリストでは8項目クリアしてるけど、やっぱり不安だからもう少し休もう…」
→ 結果:復職への恐怖が増幅し、さらに復職が難しくなる。休職期間が長引くほど、職場復帰のハードルが上がる。

失敗パターン2: 過大評価(まだ早いのに無理に復職)

「チェックリストでは4項目しかクリアしてないけど、主治医がOKって言ったし、会社からもプレッシャーがあるから…」
→ 結果:復職後すぐに体調悪化。3ヶ月以内に再休職。

失敗パターン3: 環境要因の見落とし

「自分は回復してる。不安もコントロールできてる。でも職場環境は何も変わってない…まあ、何とかなるだろう」
→ 結果:復職後、同じストレス源に再び晒され、短期間で再休職。

なぜ自己判断は危険なのか?

自己判断が難しい理由は、大きく3つあります。

理由1: 主観と客観のズレ

「自分はできる」と思っていても、実際には疲労に気づいていなかったり(慢性疲労状態に慣れてしまっている)、不安を「我慢」しているだけで対処できていなかったり、短期的には動けても継続できない状態だったりします

休職中は自分の状態を冷静に見ることが難しくなります。「早く復職しなければ」という焦りや、「迷惑をかけている」という罪悪感が、正確な自己評価を妨げてしまうのです。

理由2: 見落としがちな重要項目

チェックリストで「生活リズムOK、外出もできる」と判断できても、それだけでは復職準備が整ったとは言えません。なぜなら、復職後に必要な「目に見えない能力」の回復度は、自分では判断しづらいからです。専門家はこうした「自分では見えにくい部分」を重点的にチェックします。

・ストレス耐性の回復度
軽いストレス(予定変更、軽い批判など)にどう反応するか。過剰に落ち込んだり、回避したりしていないか。

・認知の歪み
「絶対に失敗する」「完璧にできなければダメだ」といった極端な思考パターンが残っていないか。

・対処スキル
不安やストレスを感じたとき、具体的にどう対処するか説明できるか。「気合で乗り切る」は対処スキルではありません。

・職場環境のリスク
上司との関係、業務量、残業時間など、環境要因が再発リスクになっていないか。

これらは表面的なチェックリストでは測れず、専門家との対話を通じて初めて明らかになる項目です。例えば、「大丈夫です」と答えていても、その口調や表情、言葉の選び方から、実は無理をしているサインが見えることがあります。

理由3: 「復職できる」と「継続して働ける」は別物

復職直後は緊張感や「頑張らなきゃ」という気持ちでなんとか動けても、3ヶ月後に燃え尽きて再休職するケースが非常に多いのです。専門家は「今、復職できるか」だけでなく、復職後、安定して働き続けられるかを見極めます。

そのために、復職後の生活をシミュレーションしながら、「通勤ラッシュに毎日耐えられるか」「週5日フルタイムで働き続けられるか」「ストレスがかかったときの対処法が身についているか」を確認します。自分一人では想像しづらい「復職後のリアル」を、経験豊富な専門家と一緒に検討することが重要なのです。

まとめ:専門家による客観的評価の重要性

この記事で紹介したチェックリストは、あくまで「目安」です。

本当に正確な判断をするには

・医学的評価(主治医・産業医)
・心理的評価(カウンセラー・支援スタッフ)
・環境的評価(職場との調整状況)

この3つの視点から、総合的に判断する必要があります。「不安があるから復職できない」ではなく、「不安があっても、適切なサポートがあれば復職できる」これが、私たちが支援を通して感じている事です。

【無料】復職チェック講座で、今の自分の状態を正しく知りませんか?

「自分で判断するのは不安…」
「チェックリストではOKだけど、本当に大丈夫か確信が持てない…」
「今、自分は何をすればいいのかわからない…」

そんなあなたのために、当施設では「無料復職チェック講座」を開催しています。


講座で学べること

1. うつ病の回復プロセスを理解する
「今、自分がどの段階にいるのか」が分からないと、適切な行動が取れません。うつ病治療の全体像と、回復の3つの段階(休養期・リハビリ期・復職準備期)を分かりやすく解説します。
2. 各段階での「適切な過ごし方」を知る
休養期なのに無理に動いたり、リハビリ期なのに何もしなかったり…段階を間違えると回復が遅れます。それぞれの段階で「やるべきこと」「やってはいけないこと」を具体的にお伝えします。
3. チェックリストで自分の状態を客観的に診断
講座専用のチェックリストを使って、今のあなたがどの段階にいるのかを確認します。専門スタッフがチェック結果を一緒に見ながら、見落としがちなポイントもアドバイスします。
4. 次に取るべき行動が明確になる
「今の自分は休養すべきか、動き始めるべきか」「いつ頃復職を考えればいいのか」といった疑問に、具体的な答えが見つかります。

こんな方におすすめです!

今、自分が何をすればいいかわからない
主治医から「そろそろ動いても」と言われたが、何から始めればいいか分からない
自己判断で動くのが不安
過去に再休職の経験があり、今回は慎重に進めたい
リワークを利用すべきか判断できない

受講者の声

▶「自分の段階が分かって、安心できました」(40代・男性)

「ずっと『何かしなきゃ』と焦っていましたが、講座で『今はまだ休養期です』と言われて、逆にホッとしました。焦らなくていいと分かったことで、気持ちが楽になりました」

▶「具体的な行動が見えました」(40代・男性)

「『リハビリ期に入ってますね』と言われ、散歩や図書館通いなど、具体的に何をすればいいか教えてもらえました。おかげで迷わず行動できています」

👉 無料復職チェック講座の詳細はこちら

※強引な勧誘は一切ありません。まずは客観的な評価を受けることから始めましょう。