復職前に不安が強くなるのは普通です【5つの理由と対処法】
「もう復職できる気がしない…」
「このまま戻っても、また同じことになるんじゃないか…」
休職中のあなたが、こんな不安を抱えているなら、まず知ってほしいことがあります。
それは、復職前に不安が強くなるのは異常なことではない。ということ。
むしろ、多くの方が同じ経験をしています。この記事では、休職者の対応を経験したリワークスタッフの視点で、なぜ復職前に不安が強まるのか、そしてその対処法を具体的にお伝えします。
復職前に不安が強くなる5つの理由

この疑問には、ちゃんと理由があります。そして、その理由を知ることで、「自分だけじゃないんだ」と少し安心できるかもしれません。
ここでは、多くの休職者が経験する不安の背景にある、5つの主な理由を解説します。あなたの不安がどこから来ているのか、一緒に確認していきましょう。
1. 「休職=失敗」という罪悪感が自己評価を下げている
休職したこと自体を「自分の弱さ」「迷惑をかけた」と捉えてしまうと、復職への自信が持てなくなります。
なぜ罪悪感が不安を強めるのか?
罪悪感を抱えたまま復職を考えると、「また失敗するんじゃないか」「周りから『また休むんじゃないか』と思われている」という思い込みが生まれます。この思い込みが、復職への心理的ハードルをさらに高くしてしまうのです。
さらに、「休職=自分のせい」と考えることで、自己肯定感が低下します。自己肯定感が低い状態では、小さなストレスでも「やっぱり自分には無理だ」と感じやすくなり、復職への不安が増幅されます。
2. 休職中の生活リズムと職場のギャップが大きすぎる
休職中は比較的自由な時間の使い方ができますが、復職すると急に「毎日通勤」「定時勤務」「人間関係」が戻ってきます。
なぜギャップが不安を生むのか?
人間は急激な変化にストレスを感じる生き物です。休職中の生活に慣れてしまうと、それが新しい「普通」になります。
その状態から、いきなり「毎朝決まった時間に起きて満員電車に乗り、1日8時間職場にいる」という環境に戻ることは、心身にとって大きな負荷です。このギャップの大きさを想像することで、「自分にできるだろうか」という不安が膨らむのです。
また、休職中は自分のペースで回復に専念できますが、復職後は「周りに合わせる」「期待に応える」というプレッシャーが一気に戻ってきます。このプレッシャーへの耐性が戻っていない段階で復職を意識すると、不安が強まります。
対処のヒントとしては、まずは治療に専念。復職の1ヶ月前から、出勤時刻に合わせて起床し、図書館やカフェで数時間過ごすなど、職場環境に近いリハビリを始めることで、ギャップを小さくできます。
3. 「また同じことになるのでは」という再発への恐怖
休職の原因となった問題(上司、業務量、職場環境など)が解決していない場合、復職しても同じ状況に戻るだけではないかという恐怖が生まれます。
なぜ再発への恐怖が不安を強めるのか?
一度休職を経験すると、その辛さを体が覚えています。「あの苦しい状態にまた戻るかもしれない」という恐怖は、単なる心配ではなく、
体が発する警告信号です。
特に、休職の原因が「上司のパワハラ」「過重労働」「職場の人間関係」など、自分ではコントロールできない環境要因だった場合、その環境が変わっていなければ、また同じ状況に陥る可能性が高いのは事実です。
この「原因が解決していない」という現実に直面すると、「自分がどれだけ回復しても意味がない」と感じ、復職への意欲が失われ、不安だけが残ります。
4. 休職中に「自分の価値」を見失っている
働いていない期間が長くなると、「自分は社会に必要とされていない」「能力が落ちているのでは」と感じやすくなります。
なぜ自分の価値を見失うと不安が強まるのか?
多くの人にとって、「仕事」は自分の価値やアイデンティティの一部です。働いていないことで、「自分は何者でもない」という虚無感や、「社会から取り残されている」という焦燥感が生まれます。
さらに、休職中は成功体験が極端に少なくなります。「何かを成し遂げた」「誰かの役に立った」という実感が得られないため、自己肯定感がどんどん低下していきます。
この状態で復職を考えると、「今の自分では通用しない」「期待に応えられない」という不安が先に立ち、復職への自信が持てなくなるのです。
対処のヒントは、 小さな成功体験を積み重ねること。料理、散歩、趣味の再開など、「できた」という実感が自己肯定感を取り戻す第一歩です。仕事以外の場面で「自分にもできることがある」と感じることが、復職への自信につながります。
5.職場との連絡が途絶えている、または過度にプレッシャーを感じている
復職前に職場との適切なコミュニケーションがないと、「自分の居場所はもうないのでは」という不安が膨らみます。逆に、頻繁な連絡や早期復職の催促がプレッシャーになることもあります。
なぜ職場とのコミュニケーション不足が不安を生むのか?
人間は「分からないこと」に対して不安を感じます。職場との連絡が途絶えると、「自分の代わりに誰かが配置されたのでは」「もう必要とされていないのでは」「復職しても居場所がないのでは」といった想像が膨らみます。
この想像は、ほとんどの場合、実際よりも悪い方向に進みます。確認する手段がないため、不安だけが一人歩きし、復職への恐怖が増していくのです。
一方で、職場からの頻繁な連絡や「いつ戻れるの?」という催促は、「早く復職しなければ」というプレッシャーになり、焦りを生みます。この焦りが、回復途中での無理な復職判断につながり、結果的に再休職リスクを高めます。
理想的な対応としては月1回程度、人事または産業医と現状を共有することが理想的です。適度な連絡は「戻る場所がある」という安心感を保ちながら、過度なプレッシャーを避けられます。
リワークで伝える不安への対処法
不安の理由が分かったところで、次は「じゃあ、どうすればいいの?」という疑問が湧いてくると思います。
ここからは、復職前の不安に対処する具体的な方法を3つ紹介します。一人で抱え込まず、できることから試してみてください。
方法1: 「復職チェックリスト」で客観的に状態を把握する
不安が漠然としていると、対処も曖昧になります。以下の項目をチェックしてみてください。
□ 朝、決まった時間に起きられる(週5日以上)
□ 2時間以上、集中して作業ができる
□ 人と会話することに抵抗がない
□ 通勤時間帯の電車に乗れる
□ 職場のことを考えても、動悸や吐き気がない
5項目中3項目以上クリアしていれば、復職の準備は整いつつあります。
※一つの目安としてお考え下さい
方法2: 「段階的復職」の可能性を会社に相談する
いきなりフルタイム復職ではなく、短時間勤務や業務制限から始める「段階的復職(リハビリ出勤)」という選択肢があります。
就業規則を確認する
多くの企業では、復職に関する規定が就業規則に記載されています。「段階的復職制度」や「試し出勤制度」が導入されている場合もあるので、まずは会社の制度を確認することが第一歩です。人事部や総務部に「復職時の制度について教えてほしい」と問い合わせれば、利用可能な制度を教えてもらえます。
主治医に診断書への記載を相談する
会社に相談する際、最も効果的なのは主治医の意見書や診断書に「段階的復職が望ましい」と明記してもらうことです。自分から「週3日から始めたい」と言うと、会社側は「わがまま」と受け取る可能性がありますが、医師の医学的判断として提示されれば、会社も受け入れやすくなります。
主治医に「段階的復職について診断書に書いてもらえますか?」と相談してみましょう。主治医の判断によりますが、あなたの状況に応じて適切な勤務形態を診断書に記載してくれるはずです。
※医療機関によって対応は異なりますので予めご了承ください。
方法3: 専門家のサポートを活用する
一人で抱え込むと、不安は増幅します。復職前の不安を軽減するために、以下のような専門的なサポートを検討してください。
産業医・主治医
復職のタイミングや体調面の不安について、医学的な観点からアドバイスを受けられます。段階的復職が必要な場合は、診断書に記載してもらうことも可能です。
カウンセラー・臨床心理士
「職場のことを考えると動悸がする」「絶対に失敗すると思い込んでしまう」といった不安や恐怖に対して、認知行動療法などの心理的アプローチで対処法を学べます。
リワークプログラム
復職に特化したリハビリ訓練を提供する施設です。職場を模した環境での実践訓練や、ストレス対処スキルの習得ができます。過去に再休職した経験がある方には特におすすめです。
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よくある質問

Q1: 不安がある状態で復職しても大丈夫ですか?
A: 「不安ゼロ」で復職する人はほとんどいません。重要なのは、不安があっても日常生活が送れているか、不安に対処する方法を知っているかです。
Q2: リワークプログラムは必ず利用すべきですか?
A: 必須ではありませんが、再休職リスクが高い方(過去に再休職経験がある、職場環境が変わっていない、生活リズムが乱れているなど)には強く推奨します。
Q3: 復職のタイミングはどう判断すればいいですか?
A: 主治医の判断が最優先ですが、「職場のことを考えても、気持ちが大きく落ち込まない」「週5日、午前中は活動できる」状態が一つの目安です。
まとめ:不安は「敵」ではなく「サイン」

今できることは下記のとおり。
2、復職チェックリストで現状を客観視する
3、主治医や人事に、段階的復職プランを相談する
もし「自分一人では判断できない」「専門的なアドバイスが欲しい」と感じたら、復職支援の専門家に相談することも選択肢の一つです。
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