コラム

上手くいく復職とうまくいきにくい復職の違い

うつ病などで休職されて悩んでいる人の相談を受けていて、よく言葉にされているのが「復職」です。

 

復職したい理由は、その人によって様々ではありますが、多くは「生活していくため」といった考えがほとんどです。

 

しかし、この「生活のため」といった考えが復職後の生活を左右しています。

 

今回は、そんな「復職」を上手くいかせるためのお話しです。

 

うつ病とは

 

2017年の患者調査によると、うつ病またはうつ状態の人は127.6万人といった結果があります。1996年で43.3万人だったので20年で3倍になっているわけです。それだけ、うつ症状に悩んでいる人が増えているということです。

 

ただ、増えるだけではなく、生活する上では様々なことで支障がでてくることがあります。

 

その一つが「働くこと」で、メンタルヘルス不調により1ヶ月以上の休業または退職した労働者は0.7%という結果も出ています。数字だけを見ると少なく感じますが、15~64歳までの人口は約7415万人です。

 

このうちの0.7%ですから、日本全体の51.9万人に該当してきます。

 

調査結果を参考にすると、メンタルヘルス不調により働くことに困難な方が一定数いるということがお分かり頂けたと思います。

 

 

休職・退職した後の生活は?

 

うつ病なども含めメンタルヘルス不調を理由に休職された方は、精神科あるいは心療内科を受診し休職を勧められることがほとんどの場合に当てはまります。

 

主治医の治療方針によって差はありますが多くの場合、「服薬治療」と「休養」を提案されます。症状がきつい初期の段階では、この治療方法で改善していきます。

 

しかし、この時点で「良くなった」と安易に判断して、「復職」することはまだ早いと言えます。

 

タイトルに書いていますが、「上手くいく復職」とは何でしょうか?人によって、違うのではないか?と思われる方もいると思います。

 

上手くいくためには、復職するにあたり対策と準備を行うことが必要です。

 

復職する時の不安ポイント

 

復職する時によく耳にする不安なことは、以下のようなことがほとんどです。

  • また、同じように休職したらどうしよう
  • 早く戻らないと職場に迷惑になる
  • 苦手な上司(同僚」がいるから戻りにくい
  • 復職して同じように仕事ができるだろうか

 

復職を目指している人から、筆者自身もよく聴くことが多い言葉です。そして、復職を望んでいる多くの人が似た不安を考えてしまっています。

 

しかし、この様な不安を考えていますが、この不安に対して何らかの行動をする人は少ないのも事実です。仕方がないことですが、本人もどうしたら良いのかという不安にもなっていことが多いです。

 

復職を目指すために、相談に乗れる、アドバイスができる主治医が現状に対して少ないため、サポートが不足していることがあります。

 

復職を考えている人、もっと言えば「不安を減らして」復職をすることを考えている人がすることは、休養だけでは不十分だということです。

 

休養以外の方法としては、

  • 心理カウンセリング
  • リワーク支援を受ける
  • 仕事に向けた取り組みをする

 

など活動を行う必要があります。さらに言えば、不安をなくしていきたいと考えるのであれば相談する等して不安を減らしていく取り組みが必要です。

 

これらのことを休職中~復職までに1人で手探りすることは、心の折れる時間になってしまうと思います。

 

そのためには、専門家の支援を頼ることがうまくいくための復職への近道です。

 

一度、相談してみたい方、話を聴いてみたい方はお問合せください。

 

上手くいく復職までのステップ

 

上手くいく復職には、自分の状態に応じた取り組みと復職に向けた準備をしていくことが一番の近道です。

 

主治医から、服薬と休養を勧められるのは、復職までの第一ステップだからです。服薬と休養の目的は、心身共に「休ませること」「安定させること」がポイントだからです。

 

この時期が過ぎると「活動できる」状態に近づいてきます。この段階になると、少しずつ活動を行っていくことができます。つまり、まだこの段階での復職は早いのです。

 

次に、「活動できる」状態が安定してくると、職場に近い状況で過ごすことが必要になってきます。この段階でやっと具体的な「復職」の目途が立ってきます。

 

まとめると、以下の3ステップで進めることが上手くいく復職になります。

  1. 服薬と休養の「心身を休める」時期
  2. 「活動できる」状態になり、活動を行っていく時期
  3. 職場に近い状況で過ごす「復職」の目途が立つ時期

 

就労可能の判断

 

自分の状態が安定してくると、復職することが現実的になってきます。

 

ここで、一つ注意が必要なのが、「復職可能の判断」です。職場に戻ることが視野に入ってくると、医師からの許可が必要になります。

 

医師からの許可とは、

  • 主治医
  • 産業医(または職場)

 

の医師人から許可をもらう必要があります。(会社によって、規定が異なるので一概には言えませんが・・)

 

 

主治医の許可

主治医は、通院しているクリニック等で診てもらっている医師に該当します。主に、症状や服薬の相談などを行っていると思います。職場によっては、「主治医の許可」だけで可能にしている職場もあります。

 

しかし、「復職の観点」では、主治医の許可だけでは不十分なケースがほとんどです。

 

主治医が診ている復職許可はあくまでも「治療的観点」から判断しているからです。

 

治療的観点とは、倦怠感、疲労感、顔色、活動性といったうつ病など病気に関連する症状の程度を参考にしています。

 

例えば、足を骨折して治療してある程度、回復してくると、「軽めの運動なら良いですよ」など医師から動いても良い許可が下りるとおもいます。

 

この時に、いきなり「よし、フルマラソンしよう」とはならないと思います。

 

つまり、うつ病などのメンタルヘルス不調の場合は分かりにくいこともありますが、主治医の「復職許可」は、決して働ける状態ですよ、という確証ではないというこです。

 

産業医の許可

一方で、産業医(職場の人事や総務担当者の場合もあります)の立場での「復職の許可」とは、治療的観点ではなく「労務的観点」から判断しています。

 

労務的観点とは、仕事に支障はでないか、急に休んだりしないか、顔色が悪いのに働ける状態?など働く際に、業務を遂行できるのかといった点から確認しています。

 

先ほどの例えでいえば、「フルマラソン走りたいと言っているけど、練習に付いて行けるのか?」という視点です。

 

職場でよく聞かれるのが、「主治医はOKだしたが、本当に働けるのか?」という疑問です。

 

職場、仕事は、治療期間やリハビリ機関ではないので、「治療して働ける状態にしてから戻ってきてほしい」という期待があるのが実情としてあります。

 

 

まとめると、上手くいく復職にしていくには

  1. 治療的観点からの「主治医の許可」
  2. 労務的観点からの「産業医からの許可」

 

までが復職を行う上での必要な許可になります。

 

労務的観点での復職可能な状態までにするには

 

復職可能な状態までの準備をして、復職をすることで「再発率」を下げることができます。

 

それでは、どうやってその準備をしていくかは、上記にも記載した「上手くいく復職までのステップ」の3.職場に近い状況で過ごす「復職」の目途が立つ時期まで行うことが必要です。

 

しかし、うつ病などのメンタルヘルス不調では、休職している間は、

  • 不安
  • 焦り
  • 否定的な考え

 

が出現しやすいです。

 

1人で乗り越えるためには、負担が大きすぎると考えています。 支えてくれる家族や友人、職場の方々もおられると思いますが、専門家ではない場合はどう助けてあげれば良いのかと苦慮されています。

 

そのため、出来る限り早い段階で専門家の支援を受けることをオススメしています。

 

復職されている方は、このような専門家の支援を上手く生かして、復職されていっています。

復職をされた方の声はコチラ ⇒ https://mentalfit.jp/voice/

 

以下のような方は、専門家の支援を受けることを検討してみてください。

  • 休職しようか迷っている
  • 休職中で復職または転職を考えている
  • 休職を繰り返しており、上手くいく復職をしたい
  • 上記の方を支えているご家族、職場の上司など

 

  専門家に相談してみる